話は、ちょうど1ヶ月前に遡ります。

2006年5月1日。

その日、俺は、友人の1人、『E嬢』と一緒に、つくば市内の居酒屋のカウンターで、ちょっと遅い夕食を楽しんでいました。

21:00時近くなった頃でしょうか、俺たちの隣、すぐ側の席に2人組の外国人が座ってきました。

彼らはメニューを覗き込んで、日本語で書かれた料理名を一生懸命に解読しようとしています。
会話に耳を傾けると、聞き覚えのある言語で、すぐに彼らがフランス人であることを確認できました。
それは俺が、弱冠のフランス語の心得があるからです。
そして、さらに幸運なことに、今宵、俺の隣にいる彼女、E嬢は、フランス語を専攻している大学生。

このとき俺は、ちょっとした運命的な『何か』を感じていました。

フランス人:「お、お、お…。」

俺:「…?」

フランス人:「お、ま、か、せ、うお、の、もりあわせ」

俺:「は…?」

フランス人:「OK! おまかせ・うお・のもりあわせ!」

俺:「それ、『鮮魚』だろうよ!?」
…と、E嬢と共に笑います。

彼らはさらに、「て、て、て、『てんぴゅら』の…」と続けます。

そのおかしな日本語を聞いて、笑いが止まらない俺とE嬢。

これはフランス人の友達を作るチャンスかもな。と思った俺は、E嬢の制止を振り切って彼らに声をかけました。

フランス語で、「よう! キミらはフランス人だろ? 俺、少しだけフランス語を話せるから、キミらのためにメニューを訳してあげようか!」と、そんなニュアンスの台詞で語りかけました。

フランス人たちは喜び、「Oh!! Merci!! 僕たちは『刺身』と『天ぷら』が食べたい!」と、かなりのハイテンション。

これが、『Laurant(ロラン)』と『Nicolais(ニコラ)』 と名乗る、2人のフランス人との出逢いです。

2人とも俺と同年代。

俺とE嬢も含めた4人の言語能力は、
『イッセー』:日本語と、わずかなフランス語を操る。
『E嬢』:日本語と、かなり高レベルなフランス語を喋る。
『ロラン』:日本語もフランス語も上手に話せる。
『ニコラ』:日本語は話せないが、よく喋る。
…といった感じ。

『ビールとワイン』という潤滑油、そして、フランス語を専攻しているE嬢の通訳の力も借りて、俺たち4人は瞬く間に意気投合。

一緒にワインを注文して偶然の出逢いに乾杯して、さらにお互いに携帯のメールアドレスを交換し、居酒屋を出る頃には、ロランの部屋で『クスクス・パーティー』を開催する約束を交わしました。

つづく。